こんにちはピヨたけです。
2年生編9.5巻で坂柳が語った綾小路の思い通りにはならないという言葉。
その真意について原作の描写を交えながら考察してみたいと思います。
綾小路の目的とは?
まずは綾小路の目的について考えていきたいと思います。
作中でもそれっぽい発言はあるものの明確に語られているわけではない綾小路の目的。最も深く掘り下げられている部分が作中のこの場面。
「基本的には坂柳、おまえのしようとしていることと同じだ。おまえはオレを倒すことで天才の意味に答えを出そうとしている。オレはオレでホワイトルームの教育はけして完璧なものじゃないことを、オレなりのやり方で証明しようと考えている」
驚き、は坂柳からは感じ取れない。確証はなくともその線を想定していた証拠だ。
「綾小路くんは己の手で最強のクラスを作り上げようとしている、ということですか?」
肯定して頷くと、坂柳は人差し指の腹を唇に当てる。
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編6巻
綾小路の手で最強のクラスを作る。綾小路がこの言葉に頷いていることから綾小路の目的はこれに近しい事であると推測できます。
そして綾小路の体育祭で掲げたテーマ。
「この体育祭、1つのテーマを基に過ごしていた」
「興味深いお話ですね。どのようなテーマですか?」
「『静観』だ。体育祭に介入せず、オレ以外の生徒だけでどれだけ戦えるのかを見極める良い機会だと判断した。おまえが休んだのはその副産物、だな」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編6巻
静観。堀北クラスが自分抜きでどこまで他クラスと渡り合えるか試したと考えることができます。
以上の事から、綾小路がクラスを離れる事はほぼ確定。そして移籍先はこの時点では下位に沈み、11.5巻での綾小路の介錯という描写から、一之瀬クラスだろうという予想が大半をしめました。
では、なぜ綾小路が下位に沈む一之瀬のクラスに移籍しようとするのか?
ホワイトルームの指導方針が全てではないと考える綾小路は、自分の思う形で他者の成長を促そうとしていると思われます。
坂柳、龍園、堀北の三人は自身に対して挑む、もしくは戦うことで成長を促せると考えられますが、一之瀬は別。一之瀬だけは他クラスの綾小路に対し自分たちの敵じゃないと徹底して言い続けているため、自身に挑む事により成長を促す事はできない。そこで一之瀬のクラスに移籍し、直接成長を促そうとした。
一之瀬を他の三人と同様に成長させたいと考えたのであれば、綾小路の目的は全クラスの拮抗にあると考えられます。
坂柳の思惑
綾小路の目的が全クラスの拮抗にあり、その目的に坂柳は気がつきました。
その上で2年生編8巻で綾小路にこのように話しています。
「しかし綾小路くん。未来が常にあなとの思い通りになるとは限らないものです」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編8巻
この時点では何を意味しているのかは語られませんでしたが、2年生編9.5巻でその真意が明らかになりました。
「残念ですね。あなたの計画は、夏の無人島試験の時から狂い始めているんです」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編9.5巻
無人島試験から綾小路の計画に狂いが生じていることを示唆しています。
綾小路の計画に狂いが出るとすれば何が原因なのか?一つは綾小路にとってのイレギュラー、そしてもう一つは綾小路の知らないところで起きた出来事であると考えられます。順番に見ていきましょう。
無人島試験で起きたイレギュラーと言えば一之瀬の告白が挙げられます。
一之瀬が綾小路に明確に意思を伝えてしまった事、そして軽井沢の存在を知られた事。この二つの事から一之瀬は学年末試験まで持たず倒れそうになり、綾小路は方針の変更を余儀なくされました。
しかし、これは正しくイレギュラーであり、坂柳が一之瀬をコントロールできたのかと言われれば話は別。偶然の産物であったと言えます。
また、綾小路の対策により二人の予想を超える変化が一之瀬にもたらされたため、坂柳の思惑とは異なる結果になっていると判断できます。
むしろ本命はこちら、綾小路の知らないところで起きた出来事。それは坂柳と龍園の約束です。
この約束については未だ公にはなっていませんが、綾小路は次のように想像しています。
龍園と坂柳が、互いを学年末試験で戦う相手として希望したことだ。龍園の方はクラスポイントを奪う上でAクラスを指名することはおかしなことじゃない。だが、坂柳はどうだ。あの時点で最下位だった龍園クラスを指名するメリットが出てこない。一之瀬と手を組んでいることと、龍園を潰しておいた方が良いと判断してのことか。
坂柳と龍園の間に交わされている『約束』も関係しているかどうか。
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編6巻
学年末試験での龍園VS坂柳の対決は今後の展開を大きく左右するものであり、綾小路は次のように考察しています。
もし負ければ龍園クラスのAクラス卒業の可能性は極めて難しくなる
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編9.5巻
龍園が敗れる事になれば龍園のクラスは事実上敗退の危機に陥る。
ここに坂柳の思惑を合わせて考えてみましょう。
坂柳の目的は綾小路と対峙し、綾小路を越えて本当の天才とは生まれもったものである事を証明する事です。それには綾小路をもう一度表舞台に引きづり出し決着をつけなければなりません。
しかし、綾小路の目的は4クラスの拮抗にあるため、目的が達成された場合、綾小路が表舞台に立つ必要性は無くなります。
綾小路の目的が達成されたら、坂柳の目的は達成されないかも知れないのです。
そこで坂柳は龍園を倒して4クラスの拮抗を崩そうとしていると考えられます。さらに龍園を退学に追い込む事ができればもはや浮上は困難になります。
もしもそのような状況になった場合、そんなクラスを立て直す事ができるとすれば綾小路を置いて他にはいません。
つまり坂柳は龍園を退学にすることで、綾小路を龍園クラスに移籍させ、本気の綾小路と対峙したいと考えているのではないでしょうか?これが坂柳の思惑だと予想。
無人島試験から綾小路の計画は狂い始めているの真意は、自分が龍園と退学をかけて勝負するから4クラスの拮抗はありえないという意味。
ただし、龍園は退学を賭けている可能性が高いですが、坂柳は別です。
なぜなら龍園は学年末試験だけでなく、その前でも坂柳を倒そうとしているからです。
「次の特別試験。仮に1対1の勝負が出来るルールなら、俺は坂柳を食わせてもらうぜ」
本題が隠されているはず。
そんなオレと葛城の考えを見透かしたかのように龍園がそう切り出した。
「どういうつもりだ龍園。学年末試験の直接対決だけじゃ足らないのか?」
「足らねえなあ。少なくともあの女の恥辱に塗れた顔は1回でも多くでも見ておきたい」
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編9.5巻
学年末試験で龍園と坂柳の敗者が自主的に退学するという契約ならば、戦うのはその一度だけでいい。プロテクトポイントに関わらずそれで坂柳を退学にすることができますからね。にもかかわらず龍園は学年末試験の前にも坂柳を倒そうとしています。
最も龍園のことなので特に意味はないのかも知れませんが、意味があると考えるとこうなります。
坂柳が自身の退学を賭けていないのならば何を賭けたのでしょうか?
「私は1ポイントも払っていませんし、今後も支払う予定はありませんよ」
「つまり金じゃないってことか」
この学校では基本的にプライベートポイントをやり取りするのが、取引の定石。
「なぞかけのようですが、綾小路くんにも今は教えられません。これが彼と私との間で交わされた約束です。近い将来彼から約束を果たすよう告げられるまでは」
『その願いは近い将来彼自身の首を絞める』ということを坂柳は言っていた。
そう考えれば、プライベートポイントなど金銭による見返りじゃないのも頷けるか。
引用:ようこそ実力至上主義の教室へ2年生編4.5巻
その願いは近い将来彼自身の首を絞めるという部分は、龍園が坂柳との対戦を望んだ場合、その勝負を受けるということだと予想。この条件を坂柳が飲むことにより無人島試験においてはプライベートポイントのやり取りはなかった。
この条件に龍園が+退学を賭けたのであれば、それに比類するもの、すなわち2000万プライベートポイント相当を賭けることになります。坂柳が「今後も支払う予定はありませんよ」と言ったのは自分が龍園に負けることなどありえないからプライベートポイントを賭けても支払うことはないと解釈することができます。坂柳もなぞかけと言っていますからね。
ここまで龍園が退学を賭けているという前提で話を進めてきましたが腑に落ちない点はあります。
それは坂柳が綾小路の目的に気がついた事と、龍園と坂柳の約束の時系列が逆である事です。
坂柳が綾小路の目的に気がついたのが2年生編6巻、龍園と坂柳の約束は2年生編4巻、龍園と坂柳の約束の方が先なのです。
これが綾小路の目的に気がついたから龍園とこのような約束をし、綾小路の計画を妨害しようとしているならばしっくりくるんですが。時系列では龍園との約束の方が先なので結果論になります。
無論、すでに発生していた契約を利用しようとしていると考えることもできますから…どうなんでしょうね。
最後に
今回はちょっと気になる坂柳の思惑について考えてみました。
ちなみにピヨたけは龍園VS坂柳は龍園の勝利、一之瀬の変化は一時的なものでまた沈む説を過去記事で唱えているので、今回の坂柳の思惑通りにはいかないと考えてはいますが、龍園と坂柳の双方に負けフラグが立っているだけに実際どうなるかは現時点で全くわかりません。
さらなる情報の開示を待ちたいところですね。
ここまでみてくださってありがとうございました。それではまた。
コメント
ピヨたけさん、こんにちは。
堀北クラスを最強のクラスに育て上げ、それを自ら打ち負かすこと。
その結果として、全クラスが拮抗する状態へ持っていくこと。
綾小路が目指すこれらのことを坂柳がどのように妨害しようとしているのかも気になりますが、全クラスが拮抗する状態になった時に綾小路自身はどうするのでしょうか。
今巻冒頭の綾小路の独白も気になります。この状態になった時、綾小路は自主退学する以外に道が見えません。3年の学年末近くになるのかもしれませんが、その時が来るまでに、どのような人物がどのように成長を遂げるのか、それに至るまでにどのような人間ドラマが描かれるのか、卒業後の将来をどのように見据えていくようになるのか。
物語は着実にラストに向かって進んでいるんだろうと思いますが、まだまだ楽しめそうですね。
こんにちは。コメントありがとうございます。
綾小路の目的は結局のところ未だ想像の域を出ませんからね。
今後少しずつ語られて行くのを期待したいと思います。